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2017年1〜3冊目(目標50冊)
義務のようにこなすのはさすがにちょっとあれですが、
50冊と目標に掲げてしまったので、一応ナンバリングします。


1.川上弘美「水声」
みんないろんなことに気付いていながら気付いていない振りをしているのが苦しかったです。
あと、母親の存在感。
生きている人の重たさよりも死んでしまった人の重たさのほうが、退け方が分からない分しんどい。
終わり方は、静かに次に進んでいく様子が優しかったです。

2.小川洋子「いつも彼らはどこかに」
「ビーバーの小枝」がずば抜けて大好きです。
「人質の朗読会」の「槍投げの青年」を思い出しました。
小川洋子を読んでると冬篭りしているなという気持ちになる。

3.津村記久子「浮遊霊ブラジル」
短編集です。ずっと読みたかった「給水塔と亀」をようやく読めた!じんわり胸があたたかくなるお話でした。
「地獄」はぜひ皆様にご一読いただきたい。
地獄で与えられた試練のひとつが『2006年W杯決勝のジダンになる』。こんなん笑うわ。
最後のお話が、表題作「浮遊霊ブラジル」です。
こんなストーリーよく思いつくもんだなぁとにやにやしながら読み進めて、
ラスト1ページ、最後の2つの段落で、バカみたいに泣きました。
買ってよかったな。
今年も津村氏を積極的に応援していく所存です!

 

 

「くよくよマネジメント」
読了。


津村記久子「くよくよマネジメント」

ずいぶん前に購入していましたが、ちょっとページをめくっては「あーこれ読んじゃうのもったいない!」を繰り返した結果、今日読み終わりました。
津村氏の作品は、小説もそうなのですが、日常生活に潜む生きづらさ・しんどさを描かれていることが多くて、
でも読んでて絶対息苦しくならないのは、津村氏ご自身や登場人物がみんなそのつらさを他人に被せることなく、自分なりのやり方できちんとマネジメントしようとしているからです。
『倦怠感のリスト』がすごく良かった。付箋貼って何度も読み返しています。


ちょっと最近思うことがあったので、『自分と他人の区別』から抜粋。

***

 人間同士が関係する上でのさまざまな軋轢の源流には、「自他の区別が付けられない」という、重くて毒を持った石が横たわっている様子が、年齢を経るごとに見えてくるのです。家でも学校でも会社でも、他のサークルの中でも、誰かが誰かに何かを強要して傷付けることの根底には、この区別の付けられなさが存在しています。「どうしておまえは私の言う通りにならないのだ?」という、非常に一般的な不満は、この区別の付けられなさに属します。苦しい不満です。交渉もせずに一方的に押し付けるだけで他人を変えるのは、不可能に近いですから。そして本当は、本当に相手に変わって欲しいのかも、わかっていないのですから。

 自分は他人に何でも言っていい、と思っている人が、世の中には一定数います。相手に対して不快だと思ったこと、納得できないことをそのまま口にして、相手の非を咎める形で相手を変えようとする人です。感じたことをそのまま言うのは、特に悪いことでもないのですが、困るのは、相手の悪いところを指摘したり、否定して変われということを、一つの踏み込んだフランクなコミュニケーションと捕らえているところです。
(中略)
 どうしてそんなことをするのか?わたしはそういうタイプではないので、ちゃんとした理由はわからないのですが、「自分は思うことを何でも言っていい」という考え方の背景には、自分と他人の自我の区別があやふやであることが考えられると思います。自分と他人が、水平に、別々に存在している、という見え方ではなく、近付きたい相手を「自分に属したかどうか、どの程度自分の影響を受けたか」という上下関係に組み込むことしか捉えられないのです。


***

私はアニメやゲームや声優さんが好きなのですが、その界隈、ファン同士でのトラブルを見かけることが非常によくあります。
『声優個人のイベントにキャラグッズをつけていくなんて』
『ゲームをプレイせずアニメしか観ていないのにライブに行くなんて』
『作品じゃなく中の人(声優)のファンなだけなのにイベントにいくなんて』
その原因って、持ち物だったり応援スタンスだったり「好き」の程度だったり、自分の考えているもの(ルール)とは異なるものが受け入れられない、「自他の区別が付けられない」からなのでは?と思ったのです。
と同時に、そういうトラブルに憤る自分も「同じものを好きなのだからみんな仲間」というマイルールを持っていて、
(ルールのつもりはなかったですけど、反する人は許せない気持ちはどこかにありました・・・平和主義過激派かよ)
それは「相手を批判する」というネガティブな形ではないにしろ、自分と他人を同一視したがっていることだよな、と反省した次第です。
普段の生活では冷たいぐらいに「ひとはひと、自分は自分」なタイプですが、ちょっと入れ込んだ対象には客観性を見失います・・・。
自分が苦しくなるので、注意しなければ。


くよくよしやすいぞという方はもちろん、特段くよくよしないという方にも「くよくよするひとはどのような回路でくよくよしているのか」を垣間見るつもりで、ぜひ読んでいただきたいです。
おもしろいよ!
「この世にたやすい仕事はない」
オフィシャルと呼ぶには微妙に足りない体調の悪さが続いております。
風邪が治りません。正確には咳が止まりません。
あと慢性化してる蕁麻疹。
1,2週間に1度訪れる原因不明の前腕の痛み。
(これが一番辛い。痛み止め無しではお箸も持てない動けない眠れないくらいの激痛)
私のコアとなる部分は元気だし、多分命に関わるものではないし、ひとつひとつ粛々と対応していけばなんてことないはずなのですが、
そこにちょっと困った事が発生すると、全部をストレスに関連付けて一気に無駄に弱っていく。
人間めんどくせえな。


津村記久子「この世にたやすい仕事はない」

日経で連載されていた作品。書籍化、とっても楽しみにしておりました。
いそいそと購入して、ちらっと読んで、これは・・・!!となって、
一気に読み進めたいのをぐっとこらえ、毎日毎日少しずつ、ページを進めたり戻ったりを繰り返して、大切に拝読いたしました。
毎朝、家を出る前にこの本を枕の上に置いていくんです。
仕事が終わって、は〜疲れた〜〜と帰ってきてベッドに倒れこんで、そのままページをめくるという日々。
重たい女の台詞みたいですけど、どれだけ支えられたか。


主人公は「仕事との愛憎関係に陥り」、燃え尽き症候群のようになって14年間勤めてきた職場を辞めた36歳女性。
職安にて「コラーゲンの抽出を見守るような仕事はありますか?」と仕事を紹介してもらい、作中で計5つの仕事を渡り歩きます。


第1話「みはりのしごと」
監視カメラにて撮影された映像を見て対象者の生活に不審な点がないか監視する。
第2話「バスのアナウンスのしごと」
路線バス内で流れる店舗CMの原稿を考えて作成する。
第3話「おかきの袋のしごと」
おかきの袋の裏に書かれている豆知識等のネタと文章を考える。
第4話「路地を訪ねるしごと」
町内に指定されたポスターを貼る。
第5話「大きな森の小屋での簡単なしごと」
森林公園内の小屋をベースに周囲を管理する。


特に第3話と第4話が好きです。
おかきの袋の裏にヴォイニッチ手稿とかなんだよそれ。なんでツボついてくるんだよ。
(去年の夏、ヴォイニッチ手稿について延々調べて、最後には解読できるんじゃないか?と錯覚に陥った)
第4話は、ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ミステリー?色と絶妙なスリル感と、人の心の隙間と背負う業みたいなあれこれが非常に・・・非常におもしろかったです。


自分のため、感じ入ったところを抜粋。


 契約更新をしなかった理由については、苦手なタイプの人に仕事を奪われる恐怖感に勝てず、逃げ出した、というのが、おそらく妥当な説明かと思われる。いや、仕事を奪いますよ、とやってきたわけではないのだけれども。私が感じていた、あの老婦人の厄介さに関して、おそらくはそういう負の要素をまったく受け取らないであろう社長や、その他の人々との間にギャップが生まれるのが怖かったのだ。

 年食っててよかった、と思う。二十三歳ぐらいなら引っ掛かったかもしれないが、あいにく私は、前の前の前の職場で、人間の心の隙間にそっと忍び込んで、ぷすぷすと針で穴を開けていくような人々に何人か接している。だいたい、もっとも困った局面ではしごを外すか、単に私の持っている情報が欲しいかのどちらかである。
・・・
 私が助けてほしいときはな、誰かの心の中に弱さを作り出してそこに居座ろうっていう人間じゃなくて、「申し訳ないけど助けて欲しい」ってはなっから信頼している人か専門家に言うよ坊や。


 私自身においては、この仕事に関してはそこそこという程度の好きだったけれども、やはり情熱的に誇りを持って仕事に取り組んでいる人間に対しては、どうしても無条件に敬意を持ってしまう。そういう気持ちが、働いていく上での自分を苦しめることがあるのは重々わかっているつもりなのだが。

 菅井さんは、喜びが大きいからこそ、無力感が自分を苛むことも沢山あったように思います、その逆も、と言った。
・・・
難しい仕事だからこその職場の結束もあった、他の部署からの信頼を感じることもあった、なのにこの疲労感は何だろう、と考えるようになりまして。
 そしてその矢先に、応援していたクラブの降格に出くわした。そういうふとした陥穽は、どこにでも口を開けているのだろうと思う。仕事や何やに没入して、それに費やす気持ちが多ければ多いほど、その数も多いのだろう。



『やりがいのある、好きな仕事に裏切られたから、やりたい仕事より、できる仕事からやってみる。いつか、自分にふさわしい仕事を見つけるために』
この本の帯の文章の意味が、読み終わった後だとよくわかります。
字面だけだと血気盛んな職業人様()から「大して能力もないくせに『ふさわしい仕事』だなんて我儘」etc.言われてしまいそうですが、ふさわしい仕事というのは職業能力だけではない。
私は依存体質で、自分の価値や自尊感情や承認欲求を重たすぎるくらい他者に委ねてしまうので、あえて「好きなことは仕事にしない」のですが、
それでも仕事との健全な関係が崩れそうになるときが多々あります。
自分の気持ちのバランスを探る中で、結局どんな仕事であっても楽ではねーなと悟る。
この本は、お仕事冒険小説です。冒険なのです。


読書メーターの感想をちら見したら、おかきの袋の仕事をしたいという方が複数名いらっしゃいました。
私もしたいです。
おかきの袋の仕事を希望しながらも、他のお仕事をされている方がこれだけいらっしゃるのだ。
もうちょっとだけがんばってみます。

 
「お買い物日記」
2016年になりました。今年もよろしくお願いいたします。
目標は・・・本厄が節分まで?なので、とりあえず
節分まで生き残る
です。
(厄払いしてません)
あと、「悲しいこと、落ち込むことがあっても、自分を律する」。
こう、気合いとか根性論じゃなく、具体的な対策を立てて臨みたいと思います。


***


お正月休み中に読もうと思った本の話。
今でこそ天然生活やku:nel、ファッション色が強いものでもkiitos.あたりの雑誌を好んでおりますが、
若い頃はライフスタイル系の本を読む習慣はほとんどありませんでした。
この本が初めてだと思います。
ものすごく衝撃を受けて、これを読むためだけに毎日毎日大学の図書館に通っていました。


谷村志穂/飛田和緒 「お買い物日記」

18,9の頃、谷村志穂さんの小説を好んで読んでいたので、その流れで手に取ったはず。
1と2があるのですが、どちらも絶版です。
中古で購入したのですが、1だけ売り切れで別店舗に再注文。まだ手元に届いてません。。。





谷村さん飛田さんのおふたりが購入したお気に入りの品々を、エピソードと共に紹介するという内容。
紹介されているものは、飲食物から食器、服や靴、ジャンルも価格帯も多岐にわたるのですが、
それがもう・・・当時の私にはものすごーーーーく素敵に思えたのです。
まだまだ小娘でしたもので、人を形作るものはファッションや髪型やお化粧、
とにかく『見た目』だと思っていたのですね。
それが、この本を読んで、たとえばお水を飲むグラスひとつをとっても「私はこれがお気に入り」という意識で選ぶ、
それがその人自身の『スタイル』をつくるんだ、と気付かされたのです。
別に上等なもの・高価なものである必要はなくて、身につけるものや周囲に置くもの、誰かに贈るものにその人自身の「好き」が滲んで、それがキャラクターを作っていくんだな、と。


たとえば、1に出てくるエピソードでずっと覚えているのが、
「赤ちゃんに贈るスタイは淡いグレーを選ぶ」。
それは「赤ちゃんの服は薄いピンクや水色が多くて、それにグレーのスタイをあわせたら上品で素敵だから」。
なんて洗練されてるんだろう!と感動したのを覚えています。
あと、2に出てくる『冷凍のさぬきうどん』。
谷村さんが彼氏に「今から部屋に行きたいんだけど、なにか食べるものはある?」と訊かれて、
「何もないよ」「じゃあどこかで食べてから行くよ」という会話になり、
料理研究家の飛田先生が「肝心のボーイフレンドにそんな返答をするなんて!」と憤慨したエピソード。
これはもう・・・本当に勉強させていただきました(気持ち的にはフォント大)
女性らしさ云々というより、そういうシーンにさっと対応できるのは確かにスマート。
これを読んでから数年の間、我が家には冷凍うどんが常備されておりました。。。


他にも、この本をきっかけに私の定番になったものがあります。
デュラレックスのグラス、デメルの猫ラベル(へーゼルナッツが好きです)・・・
なにより、1にも2にも出てくる、ディオールのランジェリー!
KID BLUEを身につけていた谷村さんに、ティーンエイジャーでもあるまいしとディオールを勧めた飛田先生。
わたくし10代の頃から下着好きだったのですが、さすがに手が届くのはお手頃価格のものばかりで、
これを読んだ当時も憧れはしたものの、ディオールなんてとても・・・でした。
大人になって、デザイン・パターン共に気に入って購入するようになったのがクロエとミスクロエ。
このふたつ、ディオールがライセンス撤退して、後を引き継ぐ形でできたブランドだったのです。
そしてクロエとミスクロエが撤退後にできたのが、今現在大好きなランジェリーク。
つながりを知ったのはずいぶん後のことだったので意識して好きになったわけではないけれど、縁があったのかな?とちょっと思ったり・・・。
ちなみに、ランジェリークも、飛田先生いわくティーンエイジャー向けのKID BLUEも、カドリールインターナショナル。
確かにデザインはあまーいけれど、実はKID BLUEも好きです・・・。肌あたりが良くて安定感があるんだもの・・・。


1が届くのは来週半ばごろになりそうなので、それまで2をじっくり読み返します。

 
***
読了。

川上弘美「晴れたり曇ったり」「なめらかで熱くて甘苦しくて」

前者がエッセイで後者が小説です。
「晴れたり曇ったり」は、ナウシカが好きになれなかった20代のころの話が好きでした。
だいぶ経ってから掘り下げられる感情というのは確かにある。
「なめらかで熱くて甘苦しくて」は、とらえどころがなくてむずかしかった…。
とりあえず、性欲は生命力。


川上弘美の小説をすべて読んでいるわけではないけれど、いちばん好きなのは「真鶴」です。
ただ、どうして好きなのかはうまく言葉や文章にできなくて。


先日、友人に小川洋子の「薬指の標本」と「完璧な病室」をお貸ししたのですが、
彼女の感想を読んで「ああそういうことだ、私が感じていたのは」と、ものすごくびっくりして嬉しくなりました。


「喪失」を軸にした物語が好きなのです。
失ってしまったものを取り戻そうとあがいているわけではない。
けれど、ぽっかり空いた穴から完全に目を背けることができず、何かで埋めることもできない。
執着と諦念の中で淡々と日常を生きている。そんな感じの。


そういえば江國香織なら「冷静と情熱のあいだ」と「神様のボート」が好きです。
傾向…。

 
***
読了。

川上弘美「東京日記4 不良になりました。」

大好きな東京日記の4冊目です。
どんなに不安定な気分のときにも全く負担にならない。むしろ脱力。
(川上弘美、小説もですが余計な表現をそぎ落としてるので、もたれない)


最近はノーチェックでしたが、Webでの連載をずっと見守っていました。
そのときから心に残っていたお話が、とうとう本に!


一月某日 晴
九州に出発。
羽田空港でお昼を食べていると、呼び出し放送がかかる。
ぼんやり聞いていたら、呼び出されている人の名前は、わたしの初恋の人と同姓同名である。ものすごく珍しい名字なので、本人である確率は、高い。
もう三十年も会っていない人なので、とても会いたい。
でも、食べはじめたばかりの「牛肉のフォー」をうっちゃって行くのは惜しい。
結局、食欲が、初恋の人会いたさに勝つ。汁の最後まで飲みきって、満足する。
(P101~102)



なぜ心に残っていたかと言うと、私も羽田空港でご飯を食べるときは高確率で(8,9割)フォーだからです。
なにせパクチーのせ放題なのである。
ということで、羽田でフォーを食べるたびに、このお話を思い出していました。


もし、今、初恋の人の呼び出し放送がかかったら、どうするか。
即答でフォーを選ぶ。
初恋の人だけでなく、これまで好きになった面々を思い起こしてみると、
中学時代に好きだった男の子は、一瞬迷うけどやっぱりフォーを選ぶ。
それ以降の人は、
『相手<越えられない壁<フォー』
いったい、私の心の中のどれほどのスペースをフォーは占めているというのか。
その存在の大きさ。


ちなみに私は鶏肉派だけどね。


明日は残業の日なのでもう寝ます。
おやすみなさい。

 
***
ずっと使ってたシフォンケーキのレシピを更新しました。
生地のキメの細かさが違う。吸い付くようにしっとりです!
ただ、捨てメレンゲ少なめのレシピなので混ぜるのが難しくて、焼き縮みがね…。
もう少しゆるめに泡立てればいいのかな…。
あと、手はずし初挑戦でした。
今までパレットナイフ使ってたのがバカみたい!すっごく簡単な上に、爽快。




***

読了。

梨木香歩「海うそ」

2週間強かけて読みました。大変だった。


昭和の初め、人文地理学の研究者、秋野は南九州の遅島へ赴く。
かつて修験道の霊山があったその島は、豊かで変化に富んだ自然の中に、無残にかき消された人びとの祈りの跡を抱いて、彼の心を捉えて離さない。
そして、地図に残された「海うそ」ということば……。
五十年後、秋野は再び島を訪れる―。
いくつもの喪失を越えて、秋野が辿り着いた真実とは。



地理、植生等、島の概要を説明する序盤。
そこに歴史や文化が絡んできて、足りない知識を補うべくウィキペディア先生と格闘しながら読み進めました。
(廃仏毀釈や住居形態を調べてたら、また別の言葉へとうっかりサーフィンしてしまうウィキペディア先生トラップ)
環境諸々を頭の中で組み立てていたら、ふっと挟まれる情緒的な文章。
梨木香歩作品のどこが好きって、こういうところです。
ストーリー上は平面を動き回っているけれど、心情は深いところへ引きずり込んでいくというか。

『喪失とは、私のなかに降り積もる時間が、増えていくことなのだった』

島でのフィールディングがお話の大半を占めているけれど、実際はもっと縦に、時間を読む物語でした。
「色即是空、空即是色」
辿り着いた結論に「なるほどな」と思ってしまうのはあまりにも軽いかもしれないけれど、
(そもそも私程度の理解力で「なるほどな」と言ってしまうのも怖い)
でも本当に、じんわりとその意味が沁みこんできました。
すごくおもしろかった。
でも、ものすごく気力を使ったのでちょっと休みたいです…。
2週間強かけたのに全然咀嚼足りてない…。
 

 
***
土曜日、蒼井翔太くんのアルバム「UNLIMITED」発売記念イベントに参加してきました。
お渡し会(ポスターをおしいただく)で、ものすっごく短い時間だったとはいえ初の会話ありの接近戦。
緊張……緊張…?…してた?
緊張とは違うんだけれども何を話すか全く考えられず、
(だってライブの感想言おうにも10秒くらいしかないんだよー?)
結局口走ったのが「前髪、(ラブライブ!の)ことりちゃんに似てますね」。
そりゃ半笑いもされるわorz
でも言葉を口にできただけよかったです。下手したら「10秒お祈りさせてください」になってたから。
短い時間でしたが、待機中後ろの席のお嬢さん方の会話が面白かったのと、今まで経験したことのない独特の雰囲気を味わえたのとで充実した気分です。
楽しかった。またやってみたい(当たれ)。


母親の「このジャケット、園遊会じゃん」が今回いちばん笑った。


***


読了。

・山田詠美「4 Unique Girls」

ファッション誌「GINGER」で連載されていたエッセイです。
覚えてるよ。山田詠美連載開始って広告を見たとき笑ったもん。相容れないんじゃない?と思って。
実際に読んでみたら、相容れないどころか、むしろこの手のファッション誌だからこそ意義があったのかも、と。
30こえましたけれど、山田詠美に心酔していた高校生の頃に一気に引き戻されました。
(大げさでも冗談でもなく、本当に生き方が変わった)


現在プチ追っかけもどきのようなことをしておりますが、現場で見かけるファンの方のほとんどが10代から20代前半の若い女の子たち。
普段自分の年齢を意識してないけれど(ただただ何も考えていない)、さすがにみんなぴちぴち()してるな〜と目が泳ぎます。
と同時に、私が彼女たちの年齢の頃は何をしていただろうとぼんやり考えたり。


この本の8話目「年齢なんか、ただの数字?」を読んで、思い出したことがありました。
以下、山田氏が益田ミリ作「すーちゃん」を読んで感じ入ったという点を抜粋。


若い人に「若さ」の優越感を持たせるのは大切だと思う。何故なら、自分も若い時にそうされて嬉しかったからだ、と。
若さを羨ましがられるのが嬉しいのは、自分に未来があると思えるからだ、と。



私が20歳そこそこだった頃、若い子扱いされるのがすごく嫌でした。
好きだった人がかなりの年上で、子ども扱いされたくなかったというのがひとつめの理由。
もうひとつ。
当時習っていたフラメンコのクラスメイトで、私が何かをするたびにすぐ「若いからね」で片付ける女性がいたのです。
ダンス未経験で物覚えが悪かったので毎日自主練したし、運動神経皆無だったので筋トレや走りこみもしました。
上っ面だけの踊りにしたくなくて、本やCDで各ヌメロの理論や背景の勉強も。
そういう努力で得た結果を全て「若いから」で片付けるその人のことが、大嫌いだった。
早くそういうことを言われない年齢になりたいと思ってた。
自分の中の劣等感を相手に背負わせようとしてるんだろうなというのは当時も気づいていたけれど、
今思えば、真正面から言葉を受け取る自分も、やっぱり若かったしちょっと傲慢だったな…。


「若さ」には価値があると思います。縛られるものが少ないし、単純に軌道修正もしやすい。
認められなかったのは、いつも自分の未来を悲観していたからかもしれない。
とげとげしかった部分が多少まーるくなったのは、年食ってよかったところです。


それにしても!
このエッセイ、大好きだった小説の元ネタと思われるエピソードがちらっちら出てきて、胸がいっぱいです。
「ぼくはビート」の中の『クロゼットフリーク』や、「ジェシーの背骨」…。
短編だったら「120%COOOL」の中の『DIET COKE』が好きでした。
また読んでみようかな。
 
『幸せでありますように』
4月から時間外勤務を別日の勤務時間で相殺できるようになりました。
で、上司に提案されて本日早退。


ひさしぶりに地元の図書館に寄り道。
こんなイベントをやってました。



書き出しがプリントされた紙で本が包まれてて、中身は全く分かりません。
おもしろーい!
今回は読みたい本が溜まってたのでチャレンジしませんでした。
またやってくれるといいんだけど…。


読了。

・原田マハ「カフーを待ちわびて」
「ベタなくらい王道な恋愛小説を読もう」という心意気で借りてきました。
なんせ、第1回日本ラブストーリー大賞受賞作で映画化もされている。間違いない。
登場人物はいい大人なのですが、背景にはいろいろあるものの、大人のラブストーリーというよりはみずみずしい青春小説のようでした。


相手のことを大切に思っているのに、大切に思っているからこそ、口に出せない言葉があって、
それが原因ですれ違って、大切なはずなのに傷つけて…純度の高い恋愛は、そんなことの繰り返しですな。
それほど思い入れのない恋愛(?)のほうが、スムーズに回っていく切なさ;;

『カフー、アラシミソーリ』

現実はどうあれ、そういう気持ちになれることを「恋」と呼びたい。


読みたい本が溜まっていく一方です。
4月には津村記久子氏のエッセイも出ていた。近日中に買います。
 
本と季節
読了。

堀江敏幸「燃焼のための習作」

以前にも書いたと思うけれど、堀江敏幸は秋冬に読みたくなります。
謎解き…?と思わせて、そうじゃない。
散文のような小説で、毎晩寝る前にお茶を飲みながらゆっくり読み進めました。
頭でテキストを読み込もうとしてしまうのだけれど、違うんだよね。
伏線というほど作為的ではない。
誰かとの何気ない会話や、音や香りで、連鎖するみたいに記憶がよみがえることがある。
それを連ねて物語にした作品です。


最後が優しくて、ちょっぴり切なくて、じんわり胸に沁みました。

妻から夫への最後の伝達事項が、炭水化物の摂り過ぎに気を付けてなんですもの。
(中略)
殺してやるとか、死んでやるとか、いままでありがとうとか、あとから分類しやすい台詞じゃなくて、相手のことをよく知ってなければ言えないことが胸に突き刺さるんだ。


***

ツイッターで知ったのですが、よしもとばななの「白河夜船」、映画化するのね。
よしもとばなな、15くらいのときに集中して読んでいたのですが(当時は『吉本ばなな』ですね)、
その頃いちばん好きだったのが「白河夜船」でした。
というのを映画化のニュース見て思い出した。忘れてた。
今手元には「SLY」しかありません…。


私にとってよしもとばななと長野まゆみは、夏の作家です。
蒸し暑い部屋の中、ベッドに寝転がって「マリカのソファー/バリ夢日記」や「夏至南風」を読んでた思い出。
今同じ状況だとしてもそんなに記憶に残らないと思うから、10代の感受性なのだろうな。